【禁止?禁漁?】 釣りやマリンレジャーで要注意 海で採ってはいけないもの、漁業権のこと

日常のこと
この記事は約13分で読めます。

釣りや海辺の散歩など、海のレジャーをしていると、思わぬ拾い物があったりするものです。

浜辺においしそうな昆布が打ちあがっていたり、磯場に「焼いて食べてください」と言わんばかりの貝がくっついていたり。

また、釣りに行って、狙ったわけではないけれど、大当たりの食材が釣れて来たりもします。

でも、意図して取りに行ったものではなくても、持ち帰ったら「密漁」の犯罪者になってしまうことがあります。

そこで、海で運よく(?)見つけても、採ってはいけないもの、など、海のルールをご紹介します。

みどる
みどる

ごあいさつが遅れました。こんにちは、みどるさなぎです!

違法だと知らずに、とか、「ダメかもしれないけどちょっとぐらい」、とかで、検挙されてしまう、不幸な例がしばしば公表されています。

みどる
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わかっていながら、知らないふりして、わざとやってる悪人とかは論外ですけどね。

例えば、2019年7月に兵庫県の瀬戸内海沿岸で、プレジャーボートに乗った家族連れが、タコの密漁で海上保安庁に捕まる、という事件がありました。

兵庫県明石市の瀬戸内海沿岸は、漁業権をもつ漁師さん以外は、一定の期間以外はタコを採ってはいけない、というルールになっていたのです。

このときは男女11名が検挙されました。親子や知人同士で、食用目的に採ったタコが、漁業権の侵害にあたる、として検挙された例です。

子供連れでプレジャーボートにのって「悪事を働いてやるぜ!」なんて人はいませんから、これこそ、知ってて気を付けていさえしていればよかった、不幸な例ではないかと思います。

また、よくありそうな話ですが、浜辺でバーベキューをしていたグループが、バーベキュー網の上の焼サザエを漁師に見つけられ、警察に通報されて捕まった、というような事件もあります。

このように、大した(または、全く)罪の意識なく、家族や知人と楽しく過ごしていたはずが、思わぬ罠にはまる、ということがあるので、気をつけなければなりません。

この記事では、海のレジャーをするときに気をつけないといけないこと、採ってはいけないもの、を紹介します。

海や川のものを採るのはダメなこと?違法なの?

ウミガメとか、サンゴ(海の中で生きてるやつ)とか、いかにも天然記念物的なものを勝手に採ってはいけない、というのは、感覚的によくわかります。

ウミガメ

しかし、わかりにくくて厄介なのが、普段から普通に食べてて、海ではそこらへんに普通にいる魚介藻類。

これらの採取を規制しているものの代表的なのは、「漁業調整規則」と「漁業権」 です。

海域ごとに、「漁業調整規則」で、採り方や大きさや時期などが制限されています。

また「漁業権」なるものが設定されていて、その権利を持ってる人以外はとっちゃいけない、というきまりが設けられています。

えっと・・・・?つまり、漁業権をもっていない人が海のものを採ったら、必ず罪になっちゃうっていうこと?

みどる
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そうではありません。採る、といっても、いろいろあるからです。まずは、採るということの分類から見ていきましょう。

海や川のものを「採る」 の分類

「採る」= 「漁業」とは限りませんね。

正式には、「漁業」「遊漁」に分類されています。

「漁業」はまさに、「業(なりわい)」の「漁」。つまり、仕事として採ること。

その一方、「遊漁」は「遊(あそび)」の「漁」。水辺のレジャーを楽しむ人が魚介藻類を採ることです。

この人たちはあくまで遊び、ですから、漁業の人々を脅かすようなことは、普通に考えて、許されるわけがありません。

みどる
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漁業の漁場に、遊びで網をしかけて、ゴッソリ持って行かれたらたまったもんではありませんからね。

でもそれって、「海はだれのもの?漁師さんのものなんか?」って話にもなりますよね?

その辺ははっきりしてて、海は誰の所有物でもない、というのは、法的にもきっちり決まっていることです。

海の所有権ではなくて、海の利用についての権利が法律で定められている、ということなのです。

漁業者は、人々の食卓に食べ物を供給して市民の食生活を支える、という役割を担うかわりに、それができる環境は法的に守られるべき、というのが基本的考え方です。

なるほど。権利で守られているから、それを侵害するな、ということなのね?

みどる
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漁業を守ることと、あと大事なのが、自然や水産資源を守る、という大事な名目もありますね。

遊漁者は、及ぼす影響が大きくない程度に遊ぶのはいいけど、やりすぎたらダメ!

漁法も、手づかみや釣りやたも網など、限られた数種類のやり方だけにして! ということで、限定されているのです。

みどる
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あとで出てくる、「漁業調整規則」で規定されているやつですね。

漁業権について、もう少し教えて!

上記のように、漁を生業としている人々を法的に守る役割をしているのが、「漁業権」です。

海岸線に区画を切って区分して、その区画ごとに漁業権を設定し、漁協が排他的に管理しています。(「協同漁業権」と言います)

みどる
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無人島や、漁業的な価値のない岸辺を除いて、海岸線のほとんどは漁業権が設定されています。

緑の囲いが漁業権設定エリア(出典:海しる)

ええ―っ? ・・・ということは海辺で釣りをすることは、ホントは全部、ダメってこと?

そんなことはありません。

ルールがあって、そのルールを守れば問題ないんです。

漁業権が設定されている区域で守らないといけないルールとは、おおむね次のようなものです。

  • 漁業権の対象となっている海藻類や定着性動物を採ってはいけない
  • 漁業を妨害してはいけない
  • 漁場の価値を損なうようなことをしてはいけない

二つ目と三つ目は、まあ、当たり前ですね。難しいのは一つ目の、「対象」というやつです。

漁業権の対象(採っちゃいけないもの)はどんなもの?

基本的には、広い海を自由に動きまわるものは問題なくて、その場所に定着して生息しているものが対象となりうる、という考え方です。

みどる
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つまり、何も考えずに採りまくったら居なくなっちゃうやつですね。

大きく分けて3つの種類。「藻類」「貝類」「定着性動物」が対象です。

(漁業権の対象)「藻類」

こんぶ、わかめ、てんぐさ、ひじき などですね。

みどる
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藻類がダメ、というのは、あまり知られていないので注意が必要です。

日頃あまり、「採りにいこう」って気にもならないので、採っていいものなのかどうか考える、という意識自体が希薄ですね。

でも、藻類は、漁の対象であるかどうか、だけではなく、海域の生態系になくてはならないものなので、無造作にとりまくると、他の生物の命まで脅かされます。

みどる
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漁師さんは、採集するときも根っこから抜いたりせず、また成長できるように、一部を残して切り取るらしいですね。

資源保護のための秩序って、ちょっと遊びに来ただけの遊漁者にはわからないから、同じ「採る」でも漁業の人がやるのとは全然影響が異なってきます。

なので、遊漁者には許可しない、というのも、理にかなっているような気もします。

浜辺に大量に打ち上げられている場合はどうなの?引っこ抜いたわけではないけど・・・・。袋に詰めて持って帰ったらだめ?

みどる
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はい、その区域の漁業権に設定されているときはダメです。気を付けてくださいね。

漁業のひともそれを集めて使うかもしれないし、そもそも引っこ抜いたか、抜けてたのを拾ったか、が、ハタから見たらわからないですからね。

(漁業権の対象)「貝類」

あわび、さざえ、いわがき、とこぶし、あさり、はまぐり などです。

うん、まあ、あわびやさざえは、何となくダメかなあ、という気はしてましたね。

磯場にスコップやヘラをもって長靴はいて入っていくと、疑われてしまうので注意が必要です。

子供連れで、水生生物採集の学習のつもりで昆虫箱に水をいれて採り歩く、というのも、お目こぼしがあるかないかの差だけで、密猟者扱いされる恐れと隣り合わせです。

あさりがダメって・・・。潮干狩りをするな、ってこと?

みどる
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あさりもハマグリも、たくさん採れるところって、その海域の漁協さんが、お金をかけて稚貝を育てて、放流してるんですよね。

貝類の漁場になっている浜辺では、「貝の採取禁止」とか「潮干狩り禁止」とかの立て看板があるところが多いです。

稚貝の放流のこととか考えなかったら、「なんの権利があって!」とムカっとしてしまいがちですが、もともと漁協が育てた貝だし、「なんの権利?」って、それがつまり「漁業権」なんです。

なので、そういうところで、言うことを聞かずに貝の採取をしつづけてしまうと、漁協から警察に通報されて検挙されてしまいます。

(漁業権の対象)「定着性動物」

農林水産大臣の指定する定着性動物、というものがあります。

イセエビ、シャコ、ウニ、ナマコ などなどです。

伊勢エビ(漁港にて漁業者から入手)

他にもいろいろありますが、どれが漁業権対象かは、都道府県や地域によってもまちまちなので、いちいち調べるしかありません。

ネットで調べられたらいいんですけど、ちゃんと明記してないところが多いんですよね。

漁業権の調べ方については、次の記事に詳しく載せていますので、参考にしてください。

【釣り注意】海で採ってはいけないもの 漁業権の調べ方 「海しる(かいしる)」
釣りに行くと、狙ったわけではないけれど、大当たりの食材が釣れて来ることがあります。また、浜辺においしそうな昆布が打ちあがっていたり、磯場に「焼いて食べてください」と言わんばかりの貝がくっついていたり、もよくあります。でも、...
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イセエビはほぼ100%、漁業権の対象だと思っていいですよ。遊漁者に許可してる漁協なんて、ほとんどありませんから・・・・。

さて、気をつけないといけないのは、タコです。

実は、タコに漁業権を設定している区域って、かなり多いんです。

僕も今回、この記事を書くきっかけになったのは、タコが漁業権対象だった、ということを知って驚いたからなのですが・・・。

みどる
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前述の、明石沖でレジャーボートでタコ釣りをして検挙された例ですね。

でも、普通にタコ釣りは人気だし、みんなやってるし、釣り具屋さんにもタコ釣りの仕掛けを、なんの注意書きもなく売ってるよ。

そこの海域の漁業権に設定されてるかされてないか、の違いもあるし、釣り人が知らないだけ、ということもあり得ます。

漁業権は区域ごとに、エリアと種類が細かく規定されている

前述の明石も、年中、遊漁者には禁止、というわけではなくて、海の日と12月1日から5月31日はOKだけど、それ以外はダメ、ということみたいです。

それと、期間内でも、採っていいのは、体重100gを超えるものだけ。一人あたり10匹まで と規定されています。

みどる
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本来は、漁業権設定で遊漁者はタコを採れないんですが、漁協が妥協して、一定期間は開放してくれてるんですね。

漁業者さんからしたら、そこまで妥協してるのに、そのルールさえ守れない人は許せん!ってなるわけね。

なので、「これって定着性動物?もしかして漁業権?」と心配になるようば場合は、ちゃんと調べてからでないと、手を出してはいけません。

どうやって調べようか?

僕が住む三重県は、どうかな?と思って、タコを採ってもいいかどうか、を題材にチャレンジしてみることにしました。

まず、ネットで「三重県、漁業権」とかで検索をかけても、ちゃんとしたやつは出て来ません。

三重県庁のHPで調べても、なんだか、抽象的なことが書いてあるだけ・・・・。

そのうち、どこかのホームページで、「正しい情報は県庁に問い合わせが必要」とかまで書いてある始末。

みどる
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このまま、引き下がるわけにはいかない!!

意を決して、県庁に電話をしてみました。

都道府県の農林水産部に、採っていい、いけない、の情報がある

ネットで見つけた電話番号にかけてみると、「三重県庁農林水産部水産資源管理課漁業調査班」というところにつながりました。

(僕)「あのう・・・、漁業権、というものについて、お聞きしたくて電話させていただいたのですが・・・。」

最初は怪訝な声で応対してくれていた職員さんですが、しゃべっているうちにとても親切にいろいろしゃべってくれました。

(職員さん)「タコを釣るのが禁止、ということではなくて、区域区域で、それぞれに漁業権が設定されているので、そこでは一般の人はそれを採ってはダメということなんです」

(僕)「じゃ、三重県は、タコはどうなんですか」 

(職員さん)「すべての区域で禁止されてるわけではなく、区域ごとに対象の種類が設定されているんです」

(僕)「それは、どうやったらわかるんですか?」

(職員さん)「これを調べるのは、県庁にいって閲覧する方法があります。でもお金もかかります。」

と。うーーん、なんか、頭がクラクラする情報ですね。

でも、親切な職員さん。最後にとてもいい情報を教えてくれました。

(職員さん)「ちゃんと、という訳ではないのですが、簡易的に調べたいなら、海上保安庁のホームページから調べる、という方法もありますよ。」

ついに、情報源にたどり着きました。

この、海上保安庁のホームページを使った、漁業権の調べ方については、次の記事でご紹介します

関連記事: 【釣り注意】海で採ってはいけないもの 漁業権の調べ方

漁業調整規則って何?

一番ややこしい、「漁業権」なるものをご紹介しましたが、あと一つだけ。

みどる
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詳しくみていくと、いろんなきまりが、いーーっぱいあるのですが、キリがないので、普通の人がうっかりやってしまいそうなことに絞ると、あと一つです。

それは、採り方です。

遊漁者がやっていい、採り方、というのが、都道府県の漁業調整規則で決められています。

詳しくは、水産庁のホームページとかを調べにいかないといけないのですが、そこまでしなくても、だいたい、以下を守れば大丈夫です。

  • 釣りはOK
    (但し、船を使ったトローリングはダメ)
  • 手づかみはOK
  • たも網はOK
    (但し、投網は要注意。わからなかったら、やらないのが無難)
  • 「やす」はOKのところが多い
     一方、もり(水中銃)はダメ
  • くまではサイズ次第でOK
    (但し、じょれん、と呼ばれる専用具はダメ)
  • 「かご」や「筒」はダメ

詳しくは下のような感じで規定されています。

水産庁のホームページから引用

この、都道府県ごとの漁業調整規則の一覧表は、水産庁のホームページで確認することができます。

漁業権に違反するとどうなるの?

漁業権については、漁業法という法律によって、侵害したら罰金を科することができる、とされています。

但し、これは親告罪なので、漁業権者が告訴することによってはじめて罪に問われます。

だから、漁協が関与している潮干狩り場であさりをとったり、遊漁券を買って渓流釣りをしたりができるんですね?

みどる
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そうですね。料金を払うことで漁業権者との取引が成立しているから、告訴されない、ということですね。

でも、漁業者の人も生活がかかっていますし、悪質な人々も数多くいるので、かなり神経をとがらせているのも事実。

なので、やってしまったら大変なことになる、と思っておいた方がいいです。

確か、最近、罰則も強化されたんですよね?

はい、漁業権侵害の罰金が20万円から100万円に強化されました(令和2年12月1日から)

さらに、なまこ は、とてつもなく厳しくなっているので、絶対にやったらダメです。

ナマコ(この後すぐにリリース)

釣りをしてて、たまに、狙ってもいないのにスレガカリしてくるやつもいますけど、必ずリリースしないといけません。

みどる
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僕が三重県庁の農林水産部に電話したときも、職員さんが最後に、「なまこは絶対に注意してくださいね。物すごく罪が重いですから」と注意してくれました。

なまこは漁業権云々ではなく全国どこであっても、許可を受けた漁業者以外がとると重い罪になるようになったみたいです。

罰則も、3年以下の懲役または2000万円以下の罰金(令和2年12月1日から)。

ひえええーーー、恐ろしい

みどる
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良くない人々が資金稼ぎの一環で、あまりに悪質なことをやり続けたから、と言われていますね。

まとめ

知らず知らずにやってしまいがちな、「海で採ってはいけないもの」について、調べたことを記事にしました。

だいたい、ヤバいものは、頭に入れておいて、それでも採りたくて、大丈夫かどうかを迷ったときには調べてみる、というのをおすすめします。

関連記事:【釣り注意】海で採ってはいけないもの 漁業権の調べ方

みどる
みどる

意外なところが、「タコ」ですので気をつけてくださいね。

それと、ナマコは絶対にだめですよ。一生を棒にふりますよ。

犯罪は絶対に割にあいませんから、美味しい海の幸が食べたければ、安全に、お金を出して買いましょう。

では、またっ!


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