クラシック音楽のコンサートに行ってみたいのだけど・・・。
- どんな曲を選んだらいいのか、わからないな・・・・。
- 初心者でもとっつきやすい曲ってあるのかな?
- 難しかったり、退屈だったりしたら嫌だな・・・。
そんな悩みを持っている方へのヒントになればと思います。
ごあいさつが遅れました。こんにちは、みどるさなぎです!
たしかに、クラシック音楽には、聴きやすい演目と、ちょっとしんどいな、という演目はあります。
管楽器プレイヤーとして活動し、リスナーとしての経験も長い僕であってもそうなので、クラシックコンサートに慣れていない人にはなおさらです。
わざわざ小難しい曲を聴きに行って、わけわからなくなって、クラシック音楽を嫌いになってしまっては、どうしようもありません。
そこで、初めての方でも楽しめるような、クラシックの曲を、ご紹介したいと思います。
クラシック音楽にもジャンルが?
クラシック音楽、と呼ばれるものの中にも、いくつかのジャンルがあります。
- 管弦楽による演奏会
- ブラスバンドによる演奏会
- 単独の楽器や声楽(+ピアノ等)によるリサイタル
- アンサンブル(弦楽・木管楽器・金管楽器)の演奏会
- 合唱の演奏会
- オペラ、オペレッタ、バレエ
この中でも、初めての人には、管弦楽による演奏会 をおすすめします。
その理由については、下の記事に詳しく説明していますので、よかったら参照ください。
関連記事:【初めてのクラシックコンサート】どう選ぶ?曲目は? あなたの悩みにお答えします!
初心者でも楽しめる曲目は?どうやって選ぶ?
管弦楽のコンサートは、年中、とても多く開催されており、曲目もさまざまです。
初めての場合の曲選びのヒントとして、超有名な、誰でもワンフレーズぐらいは聞いたことがあるような曲を選ぶのをおすすめします。
あまりマイナーな曲だと、楽しみどころも分かりにくかったりして、楽しむ前に退屈してしまう恐れがあるからです。
知っているワンフレーズがあることで、曲全体が身近なものになり、曲目全体が自分の中にすっと入ってきやすくなります。
聴いたことがある、といっても、あくまでワンフレーズだけのこと。曲の奥深さは、曲全体で存分に味わえます。
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
「運命って知ってる?」と聞かれたら、日本人なら100%の人が「じゃじゃじゃじゃーん」って答えると思います。
ベートーヴェンが38歳の時に作曲した曲で、持病の難聴が進行して絶望的になっていた時期に書かれたものです。
全聾になる2年ぐらい前の作品、と言われていますね。
この曲の通称の「運命」については、「運命はこのように扉をたたく」とベートーヴェン自身が言ったことが発端、とされていますが、信憑性に疑いがあるようです。
初演は1808年なのですが、曲や楽器構成が当時としてはあまりにも先鋭的であったことや、他の楽曲とのプラグラム編成に問題があったことなどから、初演は大失敗であった、と言われています。
しかし、あの衝撃的な第1楽章(「じゃじゃじゃじゃーん」)、美しく優雅な第2楽章、その後再び苦悩に舞い戻ってもがき苦しむような第3楽章に続いて、運命に勝利したかのような歓喜的な第4楽章まで聴き終わったあとには、感動と喜びに包まれた気持ちになります。
第1楽章しか聴いたことがない人も多いかと思いますが、ぜひ最後の第4楽章まで聴いて、感動のフィナーレを味わってほしいと思います。
また、「運命」と同時期に作曲され、同じ日に初演された、交響曲第6番「田園」は、「運命」とは全く異なり、牧歌的で美しく、うっとり聴き入るような曲です。
最近の演奏会でも、まれに同じコンサート内にプログラム編成されて演奏されることがあるので、機会があればこの曲を聴いてみるのもおすすめです。
ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱付き」
ベートーヴェンからもう1曲だけ。
「第九(だいく)」と呼ばれ、日本では年末によく演奏される、合唱付きの曲です。
なんで日本では年末の定番なのか、諸外国からは不思議がられているそうです。
この曲は、「運命」とは逆に、合唱がついた第4楽章は聴いたことがあるものの、第1から第3楽章は聴いたことがない、という人が多いかと思います。
「運命」と共通して、「暗黒から光明へ」というつくりになっており、第4楽章の合唱部分は「歓喜の歌」とも呼ばれています。
全楽章ではそこそこ長めの曲で(70分前後)、特に初めての人には、合唱がでてくる前の第1から第3楽章は長く感じるかもしれません。
しかし、ゆったりと聴けば、どの楽章にも「ほわっ」とする美しいハーモニーが聴こえてくるし、第3楽章の甘美な美しい旋律には吸い込まれそうになります。
そして、第4楽章の大合唱で「歓喜」のうちに聴き終わり、大きな感動と満足感でコンサート会場を去ることができます。
年末には数多くのコンサートが開催されるので、ぜひ聴きに出かけることをおすすめします。
ブラームス 交響曲第1番
この曲については、「誰でも一度は聴いたことがあるはず」、とは言い難いかもしれません。
でも、第4楽章の最後の主題が、なにかのテレビコマーシャルで使われていたので、もしかしたら覚えている人もいるかもしれません。
僕は、大学生の頃、テレビで夜中に「バビル二世」という大昔のアニメをぼーっと見てた時、最終回の1コマに、第1楽章の冒頭を大胆に使ってたのを聴いて、噴き出してしまった記憶があります。
ブラームスが43歳のときの作品で、ベートーヴェンの9つの交響曲を意識しすぎて、着想から完成までに21年もかかったといわれています。
曲の構成は、上に挙げたベートーヴェンの2曲と同じく、「暗黒から光明へ」です。
なかでも、重苦しい第1楽章がおわったあとに続く、第2楽章はなんとも言えない、穏やかで美しい楽章で、途中で入るオーボエソロや、ヴァイオリンソロにはうっとりと聴き入ってしまいます。
第4楽章は、派手でやかましい「光明」ではなくて、円熟した大人の噛みしめる幸福感をもった終楽章です。
この旋律が始まった瞬間に、「あ、自分はこれを待っていたんだ」という思いがわきあがる、そういったしっくり感と幸福感に満たされます。
尚、交響曲第1番に限らず、ブラームスの4つの交響曲は、どれをとっても珠玉の名曲です。
交響曲に限らず、序曲も協奏曲も舞曲も歌曲も宗教曲も、どれをとっても美しいですね。
もし、初めて聴くクラシックがこの交響曲第1番だったら、そこを入り口に、次々とブラームスの名曲に触れ、ファンとなっていくかもしれません。
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
僕は、いまでこそ数多くのジャンルの中から幅広くクラシック曲を楽しんでいますが、もちろん僕にも初めてのコンサートというときはありました。
それが、この、ドボルザークの「新世界より」です。
躍動的に始まる第1楽章から、ガッツリと心をつかまれ、夢中になっている間に、曲の最後までの時間が過ぎた記憶があります。
僕がまだ高校生だったころのことです。大阪のフェスティバルホールというところで聴きました。
曲は、金管が勇ましく男性的な勢いのある第1楽章に続いて、第2楽章はゆっくりのテンポで始まり、「遠き山に日はおちて」という歌詞でも知られているメロディが、イングリッシュホルンで美しく奏でられます。
第3楽章は、どこか民族的な雰囲気のある、リズム感のいい楽章。
そして、間髪入れずに第4楽章に入り、トロンボーンが(誰もが知っている)有名な旋律を勢いよく放ちます。
ここまで聞いて初めて、「あ、知ってる曲だった」と思う人も多いかもしれません。
僕がそうだったように、クラシック音楽を聴きなれていない人にも、わりとすっと入ってきやすいと思うので、初めてのクラシックコンサートにはおすすめです。
チャイコフスキー 組曲「白鳥の湖」
バレエの「白鳥の湖」の中から、音楽コンサート用に抜き出して、組曲にまとめたものです。
有名な、第二幕の情景で音楽の世界にひきこまれたあとは、クラシックバレエ音楽独特の、小気味いいリズムを伴う曲が続々と続き、耳を楽しませてくれます。
チャイコフスキーの楽曲はテンポ感やダイナミクスに優れ、派手な盛り上がりが特徴的なのですが、この楽曲「白鳥の湖」は特にその特徴がでています。
特に組曲の2曲目に組み込まれている、第1幕の「ワルツ」は、ワルツのテンポにのせて、さまざまな旋律がいろんなダイナミクスで次々と現れては移り変わってゆき、最後にトロンボーンの勇ましい響きを伴う大音響の中で曲を終えたときには、立ち上がって拍手がしたくなります。
終曲は、「情景」の哀しげなメロディーをもう一度呼び戻すところから始まりますが、バレエの中での黒鳥との闘いのシーンの旋律の後には、大勝利を表現した歓喜に満ちた大合奏で曲を終えます。
「あー、聴いたーーっ!!」という気分になる終わり方です。
この曲を聴きに行くと、コンサートが終わったあとの余韻をしばらく楽しめそうです。
ガーシュイン ラプソディインブルー
カッチリした音楽は堅苦しくてちょっと・・・、という人には、こういったくだけた楽曲で構成されたコンサートも良いかと思います。
ラプソディインブルーは、アメリカの作曲家ガーシュインが、ヨーロッパのクラシックとアメリカのジャズを融合させた作品として知られています。
クラリネットのファンキーな導入から始まり、テンポの緩急を伴いながら、オーケストラとピアノでリズミカルにつながれていきます。
肩に力をいれず、くつろいでゆったりと楽しみたい曲です。
ただ、15~16分程度の短い曲なので、他の曲と組み合わせた演奏会全体のプログラムが自分好みかどうか、という観点は大事です。
例えば、前プロ(演奏会の最初の曲のこと)がラプソディインブルーで、メイン(演奏会のメインの曲)がブルックナー、とかいうこともあります。そしてブルックナーは初心者には、正直つらいです。
ラプソディインブルーが属する、いわゆる「シンフォニックジャズ」という分野の曲を集めた演奏会などもしばしば企画されています。
いわゆる「クラシック」を聴きに行く、というよりは、ジャズに身をゆだねに行く、という感じかもしれませんが、そちらのほうが好きな人は、管弦楽への入門の一つのスタイル、としておすすめです。
ウィンナワルツ、ポルカ
お正月に、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートというのをやっているのを知っている人も多いと思います。
あんな感じに、心おどるワルツの名曲をいくつも散りばめて、一つのコンサートにしている、というのが、わりと開催されています。
クラシックが聴きたいけど、重たいのはなんだか嫌だな、と考えている人にはちょうどいいかも知れません。
曲目は、有名どころでは、「美しき青きドナウ」「ジプシー男爵」「トリッチトラッチポルカ」「こうもり序曲」「ラデツキー行進曲」などなど。
恋人や配偶者と聴きに行って、「楽しかったね」と言って帰ってくる、そんなイメージです。
こういったコンサートなら、ちょっとおしゃれをして出かけて、休憩時間にはロビーのバーでグラスワインの一杯でも、という楽しみ方も粋です。
優雅なひとときと幸福感を味わいに行く、というつもりでいくには絶好ですが、新たな刺激や深い感動、というのとはちょっと違うので要注意。
好みによりますが、「同じような曲ばっかりやんけ」と退屈してしまう人も、中にはいそうです。
映画音楽、ゲーム音楽
普段はクラシックの名曲を中心に演奏しているプロのオーケストラが、たまに映画音楽を題材にしたコンサートを催すことがあります。
その時々に人気を博している映画の、テーマ音楽や映画内で使われる曲を取り出して、コンサート形式でおこなうものです。
映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」が一世風靡していたときには、これを扱ったコンサートも多かったですね。
定番としては、スターウォーズや、ディズニーもの、スタジオジブリの映画音楽のコンサートが多いです。
映画音楽はクラシック音楽ではないじゃない!
たしかにそうですが、曲の構成がしっかりしていて、管弦楽の厚みがしっかりしているものは、クラシック音楽と楽しみ方は変わりません。
きっちりと、プロが演奏会形式でやっているものであれば質も高く、クラシック音楽と同じ深みを感じることができます。
実際、世界に名だたる超一流プロのオーケストラによる演奏会でも、映画音楽に特化したプログラムもよく開催されています。
あのウィーンフィルでも、スターウォーズの曲の演奏会をしたこともありますよ。
映画音楽には、ジョン・ウィリアムズ、エンリオ・モリコーネ、久石譲 などといった、超大物の作曲家の作品があり、圧倒されます。
また、映画音楽とは少し違いますが、ゲーム音楽も同じ楽しみ方ができます。
2021年に亡くなってしまいましたが、すぎやまこういちさんの作品、とかは不朽ですね。
クラシックじゃなきゃ嫌だ、と肩に力を入れるのではなく、こういった馴染みのあるメロディーから、オーケストラの響きの奥深さに入り込んでゆくのもいいですね。
聴きたいコンサートは決まった。でも・・・(不安)
興味がある曲目から、行きたい演奏会が決まれば、あとはいろいろと心配せず、とにかく行ってみることです。
でも、初めてだからマナーとか、わからないわ・・・不安だわ・・・
大丈夫です。
何を着ていけばいいのか?とかで尻込みする人もいるようですが、服装も何だってかまいませんし、心配するほどの細かなルールやマナーはありません。
ただ一つ、演奏中は絶対に音を立てない、それだけです。
詳しくは次の記事を参照ください。
まとめ 初めてのクラシックコンサート 曲目は?
初めてクラシックのコンサートに行ってみたい、と思った人が、とっかかりとして選んだらいいと思う曲目を挙げてみました。
「運命とか、第九とか、ベタすぎるやんけ!」と言わず、一度じっくり聞いてみてください。きっと奥深さを発見して驚くと思います。
また、これらはあくまでも、最初に門を叩くためのきっかけとして挙げたものであって、これだったら一部でも耳にしたことがあるから、敷居が低くなるだろうな、というものです。
なので、もちろん、自分が気になる作曲家や、作品があるなら、それにチャレンジするのがいいと思います。
最近では、メロディーを口ずさめば曲名を教えてくれる、というソフトもありますので、調べやすいですね。
クラシックと言いながら、ジャズや映画音楽も挙げましたが、要は肩の力を抜いて、オーケストラの世界にまずは入ってみましょう、ということです。
勇気を出して一歩を踏み出し、ぜひ、ご自身の音楽の世界を広げてほしいと思います。
~ よければこちらの記事もご覧ください ~
では、またっ!
コメント