釣りに行くと、狙ったわけではないけれど、大当たりの食材が釣れて来ることがあります。
また、浜辺においしそうな昆布が打ちあがっていたり、磯場に「焼いて食べてください」と言わんばかりの貝がくっついていたり、もよくあります。
でも、意図して取りに行ったものではなくても、持ち帰ったら「密漁」の犯罪者になってしまうものがあります。
そこで、海で運よく(?)見つけても、採ってはいけない「漁業権」の侵害を犯してしまわないよう、それぞれの区画で設定された漁業権の調べ方 を紹介します。
ごあいさつが遅れました。こんにちは、みどるさなぎです!
前回の記事で、違法だと知らずに、採ってはいけないものを採ってしまったり、やってはいけない漁法で採ったり、で検挙されてしまった事例を紹介し、海のレジャーで気を付けないといけない項目をご紹介しました。
えーっと、 「漁業調整規則」と「漁業権」 でしたっけ?
そうです。ほかにも細かい規制はいろいろありそうですが、とりあえず、この2つ( 「漁業調整規則」と「漁業権」 )は抑えておきましょう、ということでした。
この2つをごく簡単に復習しておきましょう。
(復習)漁業調整規則
都道府県ごとに、遊漁者がやっていい、採り方、というのが、漁業調整規則で決められているのでした。
細かくは水産庁のホームページ、そこに添付されている都道府県ごとの漁業調整規則の一覧表をじっくり見ないといけませんが、おおむね、次のことを守りましょう、ということでした。
- 釣りはOK
(但し、船を使ったトローリングはダメ) - 手づかみはOK
- たも網はOK
(但し、投網は要注意。わからなかったら、やらないのが無難) - 「やす」はOKのところが多い
一方、もり(水中銃)はダメ - くまではサイズ次第でOK
(但し、じょれん、と呼ばれる専用具はダメ) - 「かご」や「筒」はダメ
(復習)漁業権
海岸近くの多くの区域では、それぞれに「漁業権」なるものが設定されており、一般の人は、そこで設定された、対象の種類のものを採ってはいけない、ということでした。
漁業者は、人々の食卓に食べ物を供給して市民の食生活を支える、という役割を担うかわりに、それができる環境は法的に守られる、という概念でしたね。
はい、それと、自然や水産資源を守る意味でも、ルールは必要、ということでした。
・ 漁業権の対象となっている海藻類や定着性動物を採ってはいけない
・ 漁業を妨害してはいけない
・ 漁場の価値を損なうようなことをしてはいけない
これが、漁業権の概要でした。
そして、この漁業権の対象、とは、大きく分けて「藻類」「貝類」「定着性動物」の3種類。
(漁業権の対象)「藻類」
こんぶ、わかめ、てんぐさ、ひじき などです。
(漁業権の対象)「貝類」
あわび、さざえ、いわがき、とこぶし、あさり、はまぐり などです。
(漁業権の対象)「定着性動物」
農林水産大臣の指定する定着性動物、というものがあります。
イセエビ、シャコ、ウニ、ナマコ などなどです。
漁業調整規則と漁業権については、次の記事で詳しく紹介しましたので、こちらも是非ご覧ください。
関連記事:【禁止?】 釣りやマリンレジャーで要注意 海で採ってはいけないもの
「〇〇など」の「など」がクセモノ
さて、漁業権ですが、どれが対象かは、都道府県や地域によってもまちまちなので、いちいち調べるしかありません。
しかし、ネットで調べられたらいいんですけど、ちゃんと明記してないところが多いんですよね。
都道府県の農林水産部に問い合わせなさい、ということでしたっけ?
はい、そうです。
でも、都道府県の農林水産部は情報を把握していますが、漁業権は都道府県ごとにひとつ、ではなくて、海域をいくつも細かく区切って、その区域ごとに漁協に付与しているものなので、例えば電話で「三重県はタコとってもいいですか?」とか聞いても、答えが返ってこないんです。
僕も、「三重県庁農林水産部水産資源管理課漁業調査班」というところに電話して聞いてみましたが、 「県庁にいって閲覧する方法があります。でもお金もかかります。」 と言われてしまいました。
しかし、そこは、とても親切な三重県の職員さん。
「ちゃんと、という訳ではないのですが、簡易的に調べたいなら、海上保安庁のホームページから調べる、という方法もありますよ。」
とてもありがたい情報を与えてくれました。
海上保安庁のホームページ「海しる(かいしる)」
ついに、情報源にたどり着きました。
Google検索で、「海上保安庁」で検索するか、下記のURLからホームページ入ります。
リンク: 「海しる」 https://www.msil.go.jp/msil/htm/topwindow.html
すると、下のようなホームページが開きます。
このホームページは、海上保安庁が運営しているもので、海の地形や、交通のこと、保安のこと、環境のこと、防災のこと、など、さまざまな海の情報が満載で、とても面白いです。
時間のある時に、遊びに訪れると、実に面白いホームページですよ。
「海しる」で漁業権を調べる
ここの、「入口」というボタンを押して、次の画面に進みます。
左の方にメニューバーが開くようになっています(開いてなければ、いろいろポチポチ押してると出てきます)
ここで、「水産」というボタンを押して「漁業権」というボタンもおせば、日本地図に漁業権のエリアを描いたものが出てきます。
上の写真の、日本の海岸線に沿って、青や黄緑で縁取ってあるところですね。
地図上にカーソルをもっていって、動かしたり、ゴチャゴチャしてると、自分の見たいエリアを拡大して見れます。
これは、伊勢湾に拡大したやつです。
なるほど、確かに、沿岸のほとんどは漁業権設定されているんですね。
さらに拡大していきましょう。三重県の釣りの聖地、「日本鋼管」行ってみましょう。
拡大して拡大して、見たいところをアップにします。
そして、漁業権のエリアを示す、黄緑色の線の上にカーソルをもっていって、ポチッとクリック。
すると、共同漁業権情報が出てきました。
ほうほう、貝類や藻類がいろいろ書かれていますね。
この、「第1種共同漁業権」と書かれているやつが、遊漁者が勝手に採ってはいけないやつです。
でも、「貝類漁業7件」「・・・等」ってあるから、他にもあるかもしれない、ということですね?
そこで、同じ枠内の、「免許番号」をチェックした上で、「三重県・漁業権情報」とあるところを押します。
すると、リンク先の、漁業権情報の文書のページに飛ぶので、そこから、先程の免許番号の欄をさがします。
上の写真が、この地域の漁業権の情報です。
やった!タコは入っていない!
ちなみに、同じことを、兵庫県の明石市でやってみましょう。
以前、プレジャーボートに乗った家族連れら男女11人が、タコの密漁で海上保安庁に捕まる、という事件があったところですね。
明石では、タコが漁業権の対象である、ということが示されていますね。
これに違反して捕まってしまったのね。
漁業権に違反すると?
漁業権については、漁業法という法律によって、侵害したら罰金を科することができる、とされており、漁業権者に告訴されると罰せられてしまいます。
最近、罰則が強化され、漁業権侵害の罰金が20万円から100万円に引き上げられました。(令和2年12月1日から)
じゃ、ちゃんと調べて、漁業権を侵害しないようにしますね。
あと、もうひとつ。ナマコは、漁業権云々ではなく、全国どこであっても、許可を受けた漁業者以外がとると重い罪になるので気を付けてくださいね。
釣りをしてて、たまに、狙ってもいないのにスレガカリしてくるやつもいますけど、必ずリリースしないといけません。
罰則も、3年以下の懲役または2000万円以下の罰金(令和2年12月1日から)と、恐ろしく厳しいです。
まとめ
知らず知らずにやってしまいがちですが、「海で採ってはいけないもの」は注意が必要です。
だいたい、ヤバいものは、頭に入れておいて、それでも採りたくて、大丈夫かどうかを迷ったときには、今回ご紹介した、漁業権の調べ方 を参考にして、法に触れないように気を付けてくださいね。
下の関連記事もご参考に。
犯罪は絶対に割にあいませんから、美味しい海の幸が食べたければ、安全に、お金を出して買いましょう。
では、またっ!
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