朝、軽快なリズムで、「タングルティーザー 魔法のブラシ」ってCMがテレビで流れています。
これをみて、ふと疑問に思いました。
「ブラシだけのCM?カネかかり過ぎじゃね?それ、モトとれるの?」
ごあいさつが遅れました。こんにちは、みどるさなぎです!
確かに、テレビコマーシャルって、製作費も放映料も莫大なお金がかかると聞いたことがあります。
それをやって、売りたい商品が、ヘアーブラシって、なんかバランス悪い気がします。
少なくとも、費やした費用を超える利益が無いと、テレビコマーシャルを打つ意味がありません。
そこで、この疑問に対して、考察をしてみました。
先にネタばらしをすると、「ちゃんとモトは取れてそう」なのです。
どんな会社の製品なの?
TVコマーシャルで、「テングルティーザー、イギリス生まれ」って歌ってるとおり、イギリスの会社です。
2007年に公式の販売を始めた、比較的新しい会社のようです。
販売の世界累計は、2017年の10月に、4000万個に達した(2010年以降の販売数)、と発表しています。
ちなみに、コマーシャルの歌に出て来る「タングルティーザー、魔法のブラシ」ですが、「魔法のブラシ」はこの会社の登録商標だそうです。
会社のホームページに書いてありました。
TangleTeezerの名前の由来
会社名でもあり、商品名でもある「TangleTeezer」は「Tangle」と「Teezer」からなる造語だそうです。
「tangle」とは、もつれのこと。
「teezer」はさらに造語で、櫛の歯(tooth)の複数形の「teeth」と、羊毛や麻などをすく(tease)→すくもの(teaser)をかけた、と言われています。
会社の公式フェイスブックに載ってたから、本当だと思いますよ。
タングルティーザーのラインナップ
下に、ラインナップを列挙してみます。
6つの分類があり、さらに、それぞれの分類の中に、複数の種類の商品があります。
名前を聞いてもイメージがつかめないでしょうから、興味があれば、会社の公式サイトを見てくださいね。
また、同一の種類の商品の中にも、髪質に応じた選択ができるものもあります。
例えば、「ザ・オリジナル」という種類の中でも、普通の髪用の「ザ・オリジナル ノーマル」とか、ダメージヘアの人におすすめの「ザ・オリジナル ソフト&ダメージ」というように、4種類あります。
そして、それぞれの商品に、複数のカラーの選択肢が用意されています。
どれも、パステル調の色使いのものが多いですね。
デタングリングブラシ(絡まりほぐして、さらツヤ髪!)
- ザ・オリジナル(毎日のブラッシング)
- コンパクトスタイラー(カバー付携帯用)
- サロンエリート(ヘアサロン仕様)
- ザ・ウェットディタングラー(濡れ髪用)
ブロードライブラシ(即乾ドライで、さらツヤ仕上げ)
- イージードライブローブラシ(クイックドライ用)
- パドルブラシ(ヘアサロン仕様)
- クイックロールブラシ(ヘアサロン仕様)
スタイリングブラシ(思い通りにスタイリング!)
- ザ・アルティメット(仕上げ・まとめ髪用)
- バックコーミング(逆毛・アレンジ用)
スカルプケア(さらツヤ髪の土台作り!)
- ザ・スカルプケア(頭皮ケア用)
ペットティーザー(ペットのブラッシングに!)
- ペットティーザー(ペット用)
ギフト&セット(ギフトとセット!)
- ギフトラッピング
価格帯は、2000円台半ばぐらいの商品が多いです。
ヘアブラシとしては、若干高めの価格設定ですね。
なので、贈り物としての需要も大きいみたいです。
日本での販売は?
プリアップという、ブランディング事業やソリューション事業をやっている、横浜の会社が事業を運営しています。
2012年7月設立の会社で、従業員54名という、比較的小規模の会社ですね。
タングルティーザーの事業については、日本総代理店という位置づけで、テングルティーザージャパンとして運営しています。
2020年10月には、日本累計販売数が500万個を突破した、と発表しています。
テレビコマーシャルにかかる費用
さて、いよいよ、CMにいくらかかるか、です。
主要な地上波テレビ局に、週に1回、15秒CMを打つ、という前提で考えてみます。
下の表は、15秒コマーシャル1本あたりの相場です。
時間帯などによって幅があるのですが、これらの中間値で計算してみます。
例えば、関東エリアの場合、1本あたり、30万円から100万円ですが、その中間値として65万円とします。
そして、例えば、月曜日は日本テレビ、火曜日はTBSテレビ、というように、同じ時間帯で平日毎日どこかの局でそのCMが打たれているようにする、とします。
こうやって、できるだけ多くの人の目に触れるようにする、という作戦ですね。
そうすると、1週間で、65万円x5本=325万円。
これを半年間続けるとすると、26週として、8450万円。
同じように、
北海道エリア:5.3万円x5本x26週=689万円
東海エリア:8.3万円x5本x26週=1079万円
関西エリア:14.5万円x5本x26週=1885万円
福岡エリア:4.3万円x5本x26週=559万円
これらを全部たすと、1億2662万円。
このぐらいの放映料をかけると、半年間つかって、ほぼ全国の多くの人にCMを届けて、印象に残すことができる、と考えられます。
放映料以外に、CMの制作料が必要ですが、これを、ざっくり2500万円と仮定して、放映料と制作料をあわせたトータルコストを、1億5000万円としておきます。
コストと見返りの計算
さきほど、日本での売り上げが500万個を超えた、ということと書きました。
2012年の会社設立から2020年までの8年間で500万個なので、単純に割ると、年間63万個です。
但し、もちろん、初めからずっと売れてたわけではなく、徐々に知名度があがってのことでしょうから、現在の年間販売数を、ここでは仮に、倍の120万個、としておきます。
すると売上高は、2500円x120万個=30億円
この事業の利益率(粗利)が、仮に30%であるとすると、年間9億円、ということになります。
もし、テレビコマーシャルを打つのに1億5000万円のコストをかけたとしても、それで年間の粗利が9億円から10億5000万円以上に上がれば、その価値はある、ということになります。
さっきの計算でいうと、仮に、テレビコマーシャルによって、ブラシの販売数が2割(24万個)増えて、年間144万個になったとすると、
2500円x144万個=36億円
粗利はその30%の10億8000万円。
すなわち、粗利のアップは、10.8億ー9億=1億8000万円。
1億5000万円のコストを差し引いても、3千万円の利益アップが得られる、というわけですね。
販売数や利益率、CMによる効果は、このブログでの試算のための仮定であって、販売会社の公表に基づくものではありません。
まとめ
ブラシだけ売るために、大規模に全国にテレビCMなんか打って、割に合うの? という疑問から、ざっと試算してみました。
その結果、冒険して打って出るには十分な見込みがありそうな感じです。
これはもちろん、この、テングルティーザーという商品が、ただのブラシではなく十分な付加価値を訴えることができ、値段を高く設定できていることによると思います。
また、秀逸なデザインともあいまって、贈り物需要にもこたえられるため、「ブラシなんて一家に一個あればいいじゃん」という、需要の頭打ちからも逃れられ得ることも効いていると思います。
そう考えると、たかが(すみません)ブラシを、みんなが知っている「魔法のブラシ」に変える、テレビCMの効果は、販売数20%アップなんかではすまないかもしれませんね。
以上、テレビコマーシャル効果の考察でした。
こんな、カネ勘定の記事のあとで買う気にはならないかもしれませんが、よかったらぜひどうぞ。
では、またっ!
コメント