フルートという楽器は、クラシック音楽に馴染みのない人の間でも、かなり知られた楽器だと思います。
また、子供の頃に習っていた、とか、学校のブラスバンドで吹いていた、という人もけっこう多いと思います。
今回は、そのフルートの魅力をオーケストラの曲の中でいかんなく発揮する、フルートソロが美しいクラシック名曲を7曲、ご紹介します
ごあいさつが遅れました。こんにちは、みどるさなぎです!
きらびやかな音色で、のびやかに歌い上げる、そんなイメージがフルートにはあるかもしれません。
でも、フルートの魅力はそれだけではありません。
ときにコミカルに、ときにおどろおどろしく、じつに様々な表情をみせてくれます。
きれいなだけではないんですね。
オーケストラの曲にはほとんどフルートが入っており、「ここぞ!」という要所要所で大活躍します。
なので、「フルートが美しい」というだけの基準では、素敵な曲があまりにも多くありすぎて、数曲を選ぶことはできません。
今回は、フルートソロが美しい曲の中でも、かなり長いソロを含む曲に限定して選びました。
この記事はこんな人におすすめ
- フルートの澄んだ美しい音が好き
- 優雅なだけではない、フルートの別の魅力に触れたい
- ブラスバンドでのフルート経験者だが、もっと深く知りたい
- オーケストラの中で際立つフルートを聴きたい
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ドビュッシー 「小組曲」より 小舟にて
これぞまさにフルート、とでも言わんばかりの、まさにフルートソロのための名旋律です。
しかし、ドビュッシーが作曲したときは、ピアノの連弾のための曲で、その後に友人がオーケストラ用に編曲しなおしたそうです。
早朝の静かな湖面の上に一艘の小舟が浮かんでいるような景色が思い浮かべられます。
その湖面の上を滑って響き渡っていくような、笛の済んだ音色が、ハープのアルペジオに乗っかって、朗々と歌いあげられていきます。
この「小舟にて」という楽章の次の、「行列」という楽章も、2本のフルートの躍動的なメロディーから始まります。「小舟にて」とはまた異なるフルートの魅力です。
ビゼー 「カルメン」 第3幕への間奏曲
「カルメン」はビゼーによるオペラの作品であり、現在でもオペラとしての上演も頻繁におこなわれています。
その中から、アリアや合唱付きの曲をオーケストラ用に編曲したものと、前奏曲や間奏曲を、編成したものが、組曲「カルメン」です。
第1組曲と第2組曲がありますが、あんまりきっちりと区別されていないみたいですね。
オペラは敷居が高くてなかなか見に行けない、という人でも、組曲は演奏会でしばしば演奏されているので、楽しむことができます。
オペラ自体は、恋に狂った男が身を滅ぼすストーリーで、最後は復縁を拒んだカルメンを男が刺し殺す、というえげつないストーリなのですが、この「第3幕への間奏曲」はそんなことを思わせないような、とても美しい曲です。
冒頭からフルートの独奏のメロディーがとうとうと歌われ、それが他の木管楽器や弦楽器にひきつがれてゆき、やがて美しいままに静かにおわります。
ビゼー 「アルルの女」第2組曲よりメヌエット
アルルの女といえば、勇ましい前奏曲が有名ですが、優しく美しいこのメヌエットも人気です。
もともとは、ビゼーの歌劇「美しきパースの娘」という歌劇の中の曲を転用したものです。
フルートの独奏は、ハープのアルペジオと相性がよく、この曲もまた、ハープによる2小節の前奏に乗っかって、表情豊かに唄われます。
クラシックの演奏会に馴染みのない人でも、どこかで聴いたことがあるようなメロディーですね。
オーケストラの曲としてここまで許されるのか?というぐらい、フルートの「おいしい」独奏が延々と続く曲です。
グリーグ 「ペールギュント」第1組曲より「朝」
誰もがどこかで聴いたことのあるような「朝」のメロディーが、フルートの独奏で始まります。
その同じメロディをなぞってオーボエが続きますが、メロディの最後の部分で調性が変えた後、またフルートの独奏に引き継ぎます。
僕はオーボエ吹きなので、このオーボエによって転調するところの変化にこそ、恍惚感を覚えます・・・。
一本のフルートから始まった曲が、だんだん楽器が増えて音が分厚くなり、オーケストラの総奏に膨らんでいく感じが、とても心地よさを感じさせてくれます
これぞ管弦楽!という心地よさです。
チャイコフスキー 「くるみ割り人形」組曲より 葦笛の踊り
ここまでは、静かでゆったりとしたフルートの旋律を聴かせてくれるソロを紹介しました。
その一方で、フルートには明るく朗らかな雰囲気を、その場いっぱいに満ち満たせる力もあります。
この、「葦笛の踊り」は、どこかの携帯電話会社のCMに使われていることでご存じのかたも多いかもしれません。
もともとはチャイコフスキーのバレエ音楽の一部ですが、その中からの名曲を抜粋した組曲にも組み込まれています。
二本のフルートが、陽気で楽しくリズミカルなメロディーを、冒頭から心楽しく聴かせてくれます。
フルートを高音で用いたときの透き通った音色と、複数のフルートによるハーモニーならではの美しさが際立つ曲です。
ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲
フルートの魅力は、きらびやかなものばかりではありません。
「牧神の午後への前奏曲」は、フルートソロの半音階の下降と上昇の主題によって、おどろおどろしく始まります。
この、決して華やかとはいえない意味深な音型が、曲の全編にわたって、フルートによって執拗に繰り返されます。
この曲では、これまで紹介してきた曲のような、明るく清らかな面や、快活で躍動的な面とは異なる、フルートのまたもう一つの側面を見せてくれます。
もしかしたら「これ、私が好きな綺麗なフルートとはなんだか違う!」と思う人もいるかもしれませんね。
ブラームス 交響曲第4番
もう一つ、「おどろおどろしい」という良い方が好ましいのかどうか迷いますが、ブラームスの交響曲第4番が挙げられます。
この曲は、全楽章にわたって、悲しみや諦めの雰囲気に満ち溢れた曲です。
レナード・バーンスタインは、この曲を、怒りの曲だ、と言っていましたね
この曲の第4楽章の開始3分ぐらいのところから、フルートによる長大なソロが始まります。
そのソロのメロディーは、この楽曲全体のなかの哀しみの成分をすべて凝縮したかのような、この世の悲哀ここにあり、といった感じです。
先程、「おどろおどろしい」と書きましたが、これをそう感じるか、深く沈み込む大きな悲しみ、と捉えるか、はたまた怒りか諦観か。
演奏によっても、聴く人によっても、それぞれ異なる解釈になるのが、ブラームスという作曲家のすごいところだと思います。
この、深く強く、悲しくも美しい旋律が、オーケストラの超弱奏をバックに、フルート1本でとうとうと唄いあげられます。
おもわずため息がでるような、素敵なソロのメロディーです。
まとめ フルートソロが素敵なオーケストラ曲
今回のテーマで、7つだけ曲を選曲するのは、本当に悩みました。
基本的に、オーケストラの中での木管楽器はソロ楽器、というのもありますが、それぞれの作曲家が曲の中で最も効果的に楽器を用いるため、どの曲をとってもとても素敵なフルートソロが含まれているからです。
紹介した7曲は、フルートの魅力を発揮する数多くのオーケストラ曲の中の、ほんのほんの一部です。
数多くの楽曲の中から、「あ、ここのフルートソロ、素敵!」という瞬間を、それぞれの好みで発見していただければと思います。
では、またっ!
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