初めてのクラシック音楽コンサート。
「興味はあるし行ってみたいけど、何をどう選んだらいいのかわからなくて・・・」という人も多いのではないでしょうか。
- 初心者でも楽しめるの?
- 難しかったり、退屈だったりしないのかな?
- どんなのを選んだらいいの?高いのから安いのまで、いろいろあるよね?
- 座席も、どこを選んだらいいのか、わからないな・・・・。
そんな悩みから、クラシックのコンサートの予約を躊躇してしまっている人の、背中を押したいと思います。
ごあいさつが遅れました。こんにちは、みどるさなぎです!
リスナーとしても、また管楽器プレイヤーとしても経験が長い僕でさえも、聴きやすい演目と、ちょっとしんどいな、という演目はあります。
小難しい曲の場合は、聴きどころを予め勉強したり、特定の音型や音色を狙って聴いたり、構成を頭にいれておいてそのつながりを楽しんだり、と、聴く側としても工夫をすることもあります。
そういった、「上級編」に属するような演目をわざわざ聴きに行って、わけわからなくなって、クラシック音楽を嫌いになって欲しくない、と思います。
そこで、初めての方でも楽しめるような、クラシック音楽について、ご紹介したいと思います。
クラシック音楽の演奏会の種類
一言でクラシック音楽、といっても、実はいくつかの種類の音楽の総称であったりします。
- オーケストラによる演奏会
- ブラスバンドによる演奏会
- 単独の楽器や声楽(プラスピアノとか)によるリサイタル
- アンサンブル(弦楽・木管楽器・金管楽器)の演奏会
- 合唱の演奏会
- オペラ、オペレッタ、バレエ
これらを一つずつ見ていきましょう
オーケストラによる演奏会 ← まずはここから
指揮者がいて、前の方にヴァイオリンやヴィオラ、チェロなどの弦楽器がいて、その後ろにクラリネットやフルートの木管楽器、さらに後ろにはトランペットなどの金管楽器と打楽器。
いわゆる、クラシック音楽と聞いて、真っ先にイメージする編成がこれです。
当然、楽器の種類も人数も多いので、ダイナミクスがあり、クラシック音楽に不慣れの人でも退屈しにくいと思います。
数十人の編成のものから、百人を超えるものもありますよ。
演奏会の数も多いので、自分に合ったものも選びやすいし、誰でも聞いたことのあるような有名な楽曲を選ぶことも比較的容易です。
ブラスバンドによる演奏会 : 陽気な人向け?
弦楽器が入らず、管楽器(木管、金管)と打楽器のみによる編成です。
楽器の編成上、微弱音でしんみり、というのがやりにくいので、明るく、ど派手で、元気いっぱい、という曲が演奏されることが多いです。
ブラスバンド用に書かれた名曲も数多くありますが、その他に、管弦楽用の曲をブラスバンド用に編曲したものが演奏されることも多いです。
僕は、管弦楽用の曲は管弦楽で聴きたい、かな。
行進曲には、ブラスバンドの名曲が数多くあります。
その他、ゲーム音楽などもよく演奏されるみたいです。
クラシック=辛気臭い=寝てしまう、という人には、ブラスバンドはいいかもしれませんね。
ただ、プロの管楽オーケストラもあるにはありますが、数は多くありません。
自衛隊のイベントや、アマチュア、学生のバンドで聴く機会のほうが多くなるかと思います。
アマチュアでも、音大の演奏はさすがに一流ですし、自衛隊もいい演奏を聴かせてくれますよ。
プロだと、「シエナ・ウインド・オーケストラ」という、佐渡裕さんが率いる管楽オーケストラは、すごく素敵な楽団です。
単独の楽器や声楽によるリサイタル :ちょっと上級者向け?
特定の楽器に興味があったり、好きな楽器、好きな演奏家がある場合には、その人のソロリサイタルを聴きに行くのもおすすめです。
その人の研ぎ澄まされた演奏に没入することによって、大きな満足感と幸福感を味わうことができます。
しかし、特にそういうのがない場合には、「なんか上手なんだろうというのは分かったけどね・・・」とかで終わってしまう恐れがあるので、最初は避けた方がいいかもしれません。
また、ヴァイオリンやソプラノなどといった、メジャーな楽器(声楽)のリサイタルの場合はまだいいですが、ホルンやファゴットといった、初心者にはマイナーな楽器だと、聴衆の多くがマニアックな場合も・・・・?
聴衆の何割かが何故か楽器ケースを持ってたりとか・・・
聴衆同士のマニアックな会話が聞こえてきて、なんだか居ちゃいけないところに居るような・・・?
ま、そういうのは気にしなければ済むのですが・・・・。
アンサンブルの演奏会 :いい雰囲気になります。
「〇〇アンサンブルの夕べ」とかいったタイトルで開催される演奏会です。
多いのは、2本のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロからなる弦楽四重奏。
また、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンからなる、木管五重奏の演奏会。
演奏機会はそう多くはないですが、金管楽器ばかりからなるアンサンブルの演奏会もあります。
金管の音色は華やかなので、クリスマス系の曲目の演奏会は「推し」です。
その他、オーボエとフルートだけのデュエットとか、木管とピアノの組み合わせだったり、楽器二本ずつの八重奏とか、編成は多彩です。
演奏者は、どこかの有名オーケストラで活躍する首席奏者たちが、楽団メンバーに声をかけて集めてきたものが多く、腕前は確実です。
映画風にいえば、スピンオフ、とでも言いましょうか・・・・。
また、こじんまりとした編成なので、わりと小さめのホールで行われることも多く、ヨーロッパ中世風に作られた小型のホールや、アットホームなサロン、教会など、雰囲気も独特の楽しみがあります。
その場に加わる、ということの、満足感や優越感、幸福感が得られます。
合唱の演奏会 :歌関係の人が集まりやすい?
大きなカトリック教会で行われる演奏だと、その独特の響きも相まって、合唱がガツンと心に響きます。
パイプオルガンが伴奏につくことも多く、オルガン重厚な響きと、同じく厚い合唱の響きに圧倒されます。
こういった演奏は、日本では日常的におこなわれるほどもは浸透しておらず、クリスマスシーズンに集中しているようです。
一方、他のクラシックのコンサートと同じような感じで、音楽ホールで開かれる場合もあります。
しかし、合唱団はプロだけで編成されたものはほぼなく、普段は普通の仕事をしている歌の愛好家が、日頃から練習を重ねて演奏レベルを維持しています。
なので、演奏会もどうしても「発表会」的なものになってしまいやすいです。
客層も、出演者の家族とか、関係者が多い感じがしますね。
演奏の質も、超すごい集団から、いかにも素人コーラス、というのまであり、選ぶのを失敗することがあります。
オペラ、オペレッタ、バレエ:勉強してから行きましょう
もはや、「コンサート」と呼んでいいのかどうか、微妙なところなのですが、オペラやオペレッタ、バレエを観に行く、というのもあります。
しかし、オペラなどはあらかじめストーリーを知っておかないと、突然行っても何をやっているのかも分かりませんし、聴きどころも分かりません。
ステージに繰り広げられる異次元空間を楽しむ、というのは素敵ですが、どうせなら作品全体の芸術を楽しみたいですよね。
歌手たちによる歌詞は、だいたいイタリア語かドイツ語なので、聞いててストーリーがわかる、というものでもありません。
字幕スーパーが出る公演も多いですが、ある程度あらかじめ知っていると、字幕だけに集中せずにステージ上の動きを楽しめます。
バレエも同じですが、セリフがない分、もう一つ難解です。
バレエダンサーの所作には、「このポーズはこういう意味」みたいな暗号もいくつかあり、それを知っているかどうかでも大違いです。
さらに、他のクラシックコンサートと大きく異なり、バレエの場合は、ダンサーが凄い技を決めると、その場で拍手喝さいが起こります。
バレエ経験者か、何度か観に行った人でもなければ、拍手すべきポイントなんてわかりませんよね。
ストーリーの予習はもとより、バレエの場合は、初めての時は誰か知っている人に連れて行ってもらうのがいいかもしれません。
初心者でも楽しめる曲目は?どうやって選ぶ?
一言に「クラシック音楽」といってもさまざまなジャンルがあります。
その中でも、上にも書いたとおり、初めてのコンサートはやっぱり、オーソドックスに管弦楽のオーケストラがいいと思います。
管弦楽のコンサートは、年中、とても多く開催されており、曲目もさまざまです。
初めての場合は、あまりマイナーな曲だと、楽しみどころも分かりにくかったりするので、超有名な、誰でもワンフレーズぐらいは聞いたことがあるような曲をおすすめします。
聴いたことがある、といっても、あくまでワンフレーズ。その前後の奥深さは、十分味わうに値します。
その、知っているワンフレーズがあることで、曲全体が身近なものになり、曲目全体が自分の中にすっと入ってきやすくなります。
「聴いたことがある」というのも人それぞれかと思いますが、挙げるとすれば、下記のような曲です。
- ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
- ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱付き」
- ブラームス 交響曲第1番
- ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
- チャイコフスキー 組曲「白鳥の湖」
- バーンスタイン ラプソディインブルー
「運命とか第九とか・・・。ベタすぎるやんけ」とか言わずに、じっくり全部聴いてみてください。さすがに素敵な曲ですよ。
「のだめカンタービレ」を見てた人なら、あれに出てくる曲を聴いてみる、というのもアリですね。
指揮者や楽団はどう選ぶ?
まず、最初に決めるのは、プロの演奏家か、アマチュアの演奏家か、というところです。
アマチュアのオーケストラ
アマチュアの演奏会は1000円前後から、高くても3000円前後で買えるのでお手軽です。
ただし、演奏のレベルは、ピンからキリまでなので、安いからとか(場合によってはタダだから)とかで選んでしまうと、クラシック音楽の良さをわからないまま、「もうええわ」となってしまいかねません。
アマチュアでは、大学オーケストラの中に凄い楽団があります。
伝統ある大学オーケストラは、歴史に恥じないよう、本気で日々鍛錬して、高いレベルを維持しているところも多くあります。
僕の知るところでは、旧帝国大学と早稲田と慶応がホントにレベル高いです。
(ほんとは、すみません。名古屋大学だけは聴いたことないです)
下の映像は、九州大学の「新世界より」です。
もちろん、プロとは異なり、音程も甘いし、縦の線(音の出だしや切れのことです)も甘いことも多いのですが、若さのパワーと集中力が何かを生み出すのかして、強く引き付けられます
彼らのパワーは、録画で見ても伝わってこないけど、実際にホールにいくと全然違います。
海外のプロオーケストラ
次に、プロの場合ですが、だれでも名前を聞いたことがあるような、海外の超一流オーケストラは、ちょっとやそっとではチケットが取れません。
ウィーンフィルやベルリンフィルなんて、どんな技を使えばとれるのか、僕もわかんないですね。
そして、とれないばかりか、非常に高価なので、敷居が高い、といえばまさにソレですね。
逆に、ヨーロッパのオーケストラで、それっぽい名前がついてるけど割と安くて、チケットがまだある、みたいなやつは、割とおすすめです。
皆が群がるほどではないからチケットが取れやすいけど、ヨーロッパから楽団率いてやってきてちゃんと採算が合うんだから、集客ができてるということですから。
集客ができている、ということは、それなりの人気がある、ということです。
過去の公演記録を調べて、日本に毎年来てたり、過去に何回も来ているようなら、固定客もいるということですから、間違いありません。
また、なにも、海外のオーケストラにこだわる必要は、まったくありません。
国内のプロオーケストラ
日本のプロオーケストラのレベルは高いので、十分レベルの高い演奏が楽しめます。
特に、日本のオーケストラの弦楽器の音色は定評ですね。
プロのオーケストラは、定番の曲ばかりやっているわけではなく、企画ものであったり、マニアしか好まないようなものもスケジュールに組み入れています。
なので、ちゃんと、自分が聴きたい曲目なのかどうかを考えてから予約するようにしましょう。
指揮者について
指揮者については、聞きなれてくるうちに、好きな指揮者などのこだわりも出てきますが、始めは全くわからないと思うのでそこは気にしないでいきましょう。
「指揮者は誰でも」などと書くと「クラシックのこと何もわかっていないヤツ」と言われると思いますが、あくまで、初めての場合は、ということです。
数を重ねてくるうちに、必ずお気に入りの指揮者が出てきます。
ホールを選ぶ、座席を選ぶ
どんなホールで聴く?
多目的ホールの場合と、クラシック専用の音楽ホールの場合があります。
これらは音の響きに対するこだわりが、設計の段階から全く異なります。
音がホール中に均等に広がること、音響がしばらく残ること(2秒とか言われています)、音の反響でエコーみたいなものが決して発生しないこと、などです。
専用のコンサートホールだと、その優雅な雰囲気に、それだけで満足感が増しますね
東京だと、「サントリーホール」「東京芸術劇場」。関西だと「京都コンサートホール」「ザ・シンフォニーホール」などですね。
どの席が一番いいの?
アマチュアを除くほとんどのコンサートは、予約時に座席も選べるので、こだわって決めるようにしましょう。
どんなホールであっても、クラシック音楽を聴くのに一番いい席は、ステージ正面 真ん中より少し前あたりです。
ここが、オーケストラの音響が一番良いところです。
前の方すぎると特定の音が聞こえすぎて気になったり、全体もみえづらくなります(足元ばかりしか見えない、とか)。
また後ろの方すぎると、音が遠くなって臨場感が薄れてしまいます。
ホールによっては、一階席の最後尾は、二階席が屋根になってがかかってくるので、音響もへんな響きがでることがあります。
また、2階左右のバルコニー席は、ステージを素敵な角度で鳥瞰することができるので、視覚的には最高ですが、音はやはり偏りが出てしまいます。
僕も、マーラーの交響曲第5番を、二階バルコニー席で聴いたとき、金管の音ばっかり聞こえて、重厚な管弦楽が聴こえず、がっかりしたことがあります。
ステージの向こう側に座席がある場合もあります。
この席は、指揮者を正面から見れて、自分も演奏者の一員になったかのような、臨場感あふれる楽しみ方ができることが魅力です。
しかし、ここに座ってしまうと、弦楽器の音がかなり遠くなり、管楽器と打楽器の音にかき消されて、オーケストラ全体の響きを楽しむことはできません。
曲目によっては問題ない場合もありますが、純粋に音を楽しみたいのであれば、この席は避けた方がいいです。
コンサートに出かけよう。注意すべきことは?
予約もできたし、いよいよ出かけよう。でも、マナーとかいろいろあるんだろうか?服装は?
初めてのクラシックコンサートでは、そんな不安で尻込みしてしまうことも多いと思います。
それについては「音をださないように気を付けて!」のただ一点だけです。
クラシックコンサートに出かけるときの不安解消、服装については、次の記事を参考にしてください
関連記事:【初めてクラシックコンサート】服装は?注意点は? あなたの不安にお答えします!
まとめ
クラシックのコンサートに行ってみたい、と思った人が、初めてでも安心して選べるように、ジャンル、曲目、楽団の選び方について解説しました。
また、別記事では、何も心配せず、聴きに行って大丈夫、ということも書いています。
関連記事:【初めてクラシックコンサート】服装は?注意点は? あなたの不安にお答えします!
初めての人むけのおすすめの曲 については、下の記事で紹介していますので、よければご覧ください。
ぜひ、クラシック音楽を楽しむ、という、自分の世界を広げるべく、門を叩いてほしいと思います。
では、またっ!
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