大切な人に何か贈り物を、といったときには色々悩みますが、なにか食べ物をお送りする、というのもいいですね。
特に、健康な働き盛りや育ちざかりがいるご家庭には、がっつりとお肉! というのもおすすめです。
肉を贈るからには、アメリカ産の切り落とし、というわけにはいきませんから、銘柄の知られた良い肉を贈りたくなります。
今回は、そういった銘柄肉の中でも「肉の芸術品」との異名をもつ、松阪肉についての蘊蓄(うんちく)を・・・・。
ごあいさつが遅れました。こんにちは、みどるさなぎです!
まず、ブラ ンドものの和牛で、名前のしれたものを挙げてみましょう。
- 前沢牛(岩手県)
- 秋田牛(秋田県)
- 仙台牛(宮城県)
- 米沢牛、山形牛(山形県)
- 常陸牛(茨城県)
- 飛騨牛(岐阜県)
- 松阪牛、伊賀牛(三重県)
- 近江牛(滋賀県)
- 熊野牛(和歌山県)
- 神戸ビーフ、但馬牛(兵庫県)
- 土佐和牛(高知県ん)
- 筑穂牛(福岡県)
- 佐賀牛(佐賀県)
- くまもと黒毛和牛(熊本県)
- 宮崎牛(宮崎県)
- 石垣牛(沖縄県)
まだまだいっぱい、全国にありますよ。(320種以上あるそうです)
ちなみに、「国産牛」と「和牛」は別モノです。「国産牛」は単に牛を育てた土地が日本だということ。(ホルスタインでも国産牛は国産牛です。)
「和牛」は品種を差し、「黒色和種」日本短角種」「無角和種」「褐毛和種」のどれかです。
数あるブランド和牛の中でも、神戸牛、松阪牛、米沢牛 が、日本三大和牛 と呼ばれています。
(米沢牛ではなく近江牛とする人もいます)
まずは、「松阪牛」の正しい呼び名から
普通に読んで「まつざかぎゅう」とか言われたりしますが、正しいよびかたは「まつさかうし」です。
「まつざか」と濁らずに「まつさか」なんですね。「ぎゅう」ではなくて「うし」なんですね。
ちゃんと商標登録されていて、松阪肉は「まつさかにく」、松阪牛は「まつさかうし」として登録されているそうです。
「松阪牛」と名乗るための条件ってあるの?
平たく言うと、松阪近辺で育てられた黒色和種のメスの和牛、というのが大前提です。
「和牛」の大半は黒色和種です。先ほど挙げた、神戸牛、近江牛、米沢牛もすべて黒色和種ですよ。
松阪近辺といっても勝手に範囲を広げられると困るので、下の三重県地図に示されている、定められた範囲、と規定されています
「松阪牛協議会」という、松阪市長が会長を務める公益団体によって規定されています。
平成の大合併よりも以前の市町村単位で規定されているので、「旧22市町村」という書き方になっています。
それと、飼育地などすべてにわたってズルができないように、松阪牛個体識別管理システムに登録して牛一頭一頭に番号が割り振られて管理されています。
松阪牛って、たしか、牛にビール飲ませながら育てたり、飼育農家さんが牛の体をさすったりしてるのを見たことがあるんだけど・・?
それはきっと、「特産松阪牛」のことを言われていますね。
松阪牛を名乗るためには、別にビールだの、マッサージだのは必要条件ではありません。
松阪牛は上に書いたとおり、種類や肥育地と期間、管理については規定されていますが、そんなに特殊な環境ではなく、普通の牛舎でたくさん育てられています。
一方で、普通の「松阪牛」とは別に、「特産松阪牛」というくくりがあります。
松阪牛の中でも、ええやつ、というくくりですね?
そうなんですけど、もうちょっと詳しく見てみましょう。
特産松阪牛 とは?
このように、普通の松阪牛とは異なり、子牛の産地の規定もあり、松阪近辺の飼育地への導入時期、飼育日数も厳しく限定されているのです。
良好で健康的な環境のもとで、特産松阪牛は一頭一頭大切に育てられるため、肥育には大変手間がかかるようです。
テレビなどで紹介される、松阪牛を飼育している風景、はきっとこっちですね。
ビールを飲ませたり、毛並みの手入れをしてもらうのも、この「特産松阪牛」なのでしょうね。
特産松阪牛にビールを与えることには反対している農家さんもいるみたいですよ。「酒が嫌いな牛もおるやろ!」って意見だそうです(笑)。
これだけ手間をかけて肥育するのはなかなか大変なことらしく、現在「松阪牛」全体ではおよそ一万頭が肥育されているのに対して、特産松阪牛の出荷頭数はわずか200頭あまりらしいです。
(ちなみに、日本中で食肉用に肥育されている牛はぜんぶで300万頭弱だそうです)
特産松阪牛を肥育している農家の数は、全部足しても50軒あまりだ、とか。
とすると1軒で4頭の計算ですね。大量生産とは程遠く、まさに1頭1頭大事に、というかんじですね。
こういった苦労をいまでも続けている肥育農家さんに対して、「特産松阪牛推進農家」という認定制度があって、前述の松阪牛協議会から、下の写真のような認定証が発行されるらしいです。
特産松阪牛の勇姿
目にしたことのある、この立派な姿、これは普通に「松阪牛」ではなく、これがまさに「特産松阪牛」です。
松阪市では年に1回、松阪肉牛共進会というイベントがあって、選りすぐりの牛がセリにかけられて、その年のチャンピオンが決められます。
このとき選ばれるのは、やはり、ただの「松阪牛」ではなく、100%が「特産松阪牛」だそうです。
セリ落とされるときの値段は、年にもよりますが、1000万円台から2000万円台ぐらい。
最高では、平成14年に5000万円の値段で落とされたらしいですよ。
毎年だいたい、チャンピオンを買い付けるのは、津にある有名な「朝日屋」というお肉屋さんで、ご祝儀と産業振興のために高い値段は出すけれど、年末に普通の値段で小売りするそうです。
普通といっても、「特産松阪牛の普通の値段」ってたいがいですけどね。
品質と信頼維持のために「松阪牛個体識別管理システム」
以前、食肉の産地偽装が問題になりましたね。
松阪牛はそんな疑いをかけられたら命取りになります。
そこで、消費者の不安を解消し、安全安心で信頼できる松阪牛ブランドを守るために、国の個体識別システムに先駆けて作ったとか。
子牛が、松阪牛生産地域に導入されると、牛一頭一頭に番号が振られてこのシステムに登録され、飼われているときから食肉になって販売されるまで、きっちりと管理されます。
登録される項目は、牛の性別や生年月日、出生地だけでなく、名前・血統・肥育日数・農家の情報・餌の内容など、36項目ものデータが蓄積されます。
システムを管理運営する、「三重県松阪食肉公社」の職員が、直接牛舎まで出向き、登録する松阪牛を全数確認する、という徹底ぶりです。
食肉になるときには、こういう証明書が発行されます。
肉の加工をやっている店頭では、このような証明書や、下の写真のような証明シールを、陳列台の周辺でみることができます。
また、小売りの段階でパック詰めされた際にも、きちんとした肉屋さんであれば、パックにこのシールが貼られていたり、値札に個体識別番号が印刷されています。
これをネット経由で調べると、情報検索することができます。
ここで「牛肉用」とかいてあるのは、実はこれとは別に「牛皮用」っていう画面もあるからです。
多分、1社だけなんですけど、松阪牛の牛皮で製品をつくっている会社があります。そこの製品には松阪牛識別番号が刻印されています(笑)。
識別番号を入力すると、こんな感じで情報が出てきます。
肉の等級について
特産松阪牛が最高級、というのはわかるのですが、そうそう手がだせるものでもありません。
でも、ちゃんと松阪牛であって、いい等級のものであれば、特産であろうがなかろうが、最高に旨いのは間違いありません。
この、「等級」というのは、A-5~C-1 で分類されています。
アルファベットは、「歩留等級」と言って、良い順に、A>・・・>C となっています。
これは、枝肉(肉屋でつるされている、まだ骨がついた状態のもの)からどれだけの食肉が取れるか、を示す指標なので、小売りで買ってくる時には気にすることはありません。
一般的に、和牛はAランク、和牛以外の肥育牛がBランク、経産牛がCランクと言われています。
数字は、「肉質等級」といって、よい順に、5>・・・>1 となっています。
霜降りの状態や、肉の色や締り具合、脂の色つやや質をみて決められる等級です。
特産松阪牛、食べてみたいけど・・・。でも、そこまでしなくても、松阪牛はおいしいですよ。
松阪牛の特徴はサシ、霜降り。これをいかに楽しむか、ですから、ここはこだわりたいですね。
きちっと等級のいいやつ(できれば5。大きくゆずっても4までですね)を買えば、間違いありません。
松阪牛のお味は?
もう、松阪牛の味について、とやかくいうことはないと思いますが、まったく触れないのもどうかと思うので・・・・。
松阪牛の特徴は、肉質が柔らかいのはもちろん、霜降りがきめ細かく脂肪分にあるふんだんな甘みです。
トロトロ という表現がぴったりですね。
焼肉にしてもよし(網焼きでしっかりと脂を落としたほうが食べやすいです)。
すき焼きにしてもよし。
ただ、とにかく脂が多い(逆に言うと、そうでないと松阪牛を味わったとはいえなのですが・・・。)
なので、年齢とともにたくさん食べるのはつらくなります。
僕の経験です。あまりに美味しいもんだから、調子に乗ってしまうと、あくる日の胃もたれがハンパないです。
たくさんがっつり、ではなく、美味しいものを適量味わって満足、という食べ方がいいのかもしれません。
仲居さんが焼いてくれるような、すき焼きのお店にいくと、薄くスライスした、幅広のお肉が、だいたい一人1枚です。 このぐらいが、適量なのだと、僕も思います。
まとめ
最高級のブランド和牛「松阪肉」についての蘊蓄(うんちく)でした。
講釈よりも、「うまかったら、それでええねん」というところではありますが、ご容赦を。
松阪牛はもちろん地元ではどこででも買えますが、三重県以外だと、百貨店のお肉コーナーで手に入るかどうか、というところでしょうか。
近頃は、ネット販売で簡単確実に手に入れることもできますので、他の銘柄のお肉との食べ比べなども含めて、楽しみ方はさまざまです。
では、またっ!
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