三重県松阪市、といっても、数年前までは飯高町と呼ばれていた山の中に、素敵なやきものの窯元があります。
ひっそりとした場所で、老夫婦が二人三脚で作品を作り上げて売っているところです。
その「香肌窯」を紹介したいと思います。
ごあいさつが遅れました。こんにちは、みどるさなぎです!
会社でとてもお世話になった先輩が退職することになり、なにかお礼の品を贈りたい、と思いました。
考えたあげく、一人でお酒を飲むときに使うグイ呑みをプレゼントしよう!と思いつきました。
といっても、なにしろ僕も田舎ぐらしのこと、素敵な器を置いているようなシャレたお店や百貨店はありません。
妻に相談したところ、「窯元があるねん!いこ!いこ!」と。
お店がないなら、いっそ直接窯元へ。
遊び経験が豊かな伴侶はもっておくものです・・・。
香肌窯 どんな窯元?
三重県松阪市の飯高地区というところに、その窯元はあります。
立松隆司さん・房恵さんというご夫婦が、二人で力をあわせて作品を作り続けておられます。
ご主人の隆司さんは、高校時代に作陶を体験してその道を志し、愛知県瀬戸市の窯業職業訓練所を卒業後、瀬戸で3年、伊勢で3年の修行を経たのちに、自身の登り窯を築いたそうです。
46年前に独立して、飯高の地に窯元を設立されたそうですよ。
奥さんの房恵さんは同じく、窯業職業訓練所にいたときに、今のご主人の隆司さんと知り合ったそうです。
卒業後、愛知県の砥部で砥部焼の染付けの修行をしたのち、飯高に移り、隆司さんとともに創作活動をするようになったそうです。
どんなやきもの?
柔らかくて優しい色合いの土の色を残しつつ、形は力強くてがっしりした感じの器が多いです。
その上に、素朴な絵と淡い釉薬で、再び柔らかく仕上げています。
ご主人が土をこね、形を作り、焼き、奥さんが絵付けをする、という、二人三脚の作業で作品を一つ一つ作り上げていきます。
奥さんが描く絵は、植物や動物の絵が多いのですが、時には空想上の生き物や、文様であったりもします。
ただ、どの作品も、絵が土の色の良さを損なわないように抑えられていて、ご主人が形作った器そのものの風合いと、奥さんの絵が見事にマッチングしています。
創作は多彩で、食器の他には、壁掛けの飾りや、置物のオブジェなども多種多様です
形の面白さと、大胆な色使いの絵付けがとても面白く、創作意欲にあふれています。
食器では派手な色付けを控えているのと対照的に、オブジェでは大胆で力強い色使いがみられたりもします。
アトリエの外にも、オブジェが見られました。
飯高(松阪)にある窯元に行ってみる
目的地はここです。
三重県松阪市から国道166号線を、奈良の桜井市に向かって車で40分ほどいったところに、その窯元はあります。
国道、といっても、地方の3ケタ国道。そんなに交通量が多い道ではなく、静かなところです。
道の駅「茶倉」を過ぎて、道の駅「飯高駅」までの間に、右側に「局ケ岳登山道⇒」という看板が見えてきます。
これを右折して、坂道を登っていきます。
この道で本当に合ってるのかなあ?という不安を抑えてしばらく行きます。
すると「香肌窯」と書かれた看板が右側に立っているのが見えてきます。
この看板、意外に景色に溶け込んでいるので、見落とさないように注意が必要です。
車はここで路駐です。
頑張ったらこの先も車でいけるかもしれませんが、テクニックに自信がない人はやめておきましょう。
お茶畑を横に見ながら、なんとも風情のある細道を歩いて行きます。
2~3分歩くとすぐに、目的地の香肌窯に到着です。
窯元のようす
建物は、ひなびた感じの、とても素敵な雰囲気です。
入り口に向かい合った小屋には、作業スペースと小さな窯のようなものがあります。
その奥には、本格的な窯もみつけましたよ。
ほかにも、いくつかの作業小屋があるようです。
さて、いつまでも庭先を見ていないで、アトリエにお邪魔しましょう。
恐る恐る、暖簾をくぐって、アトリエの中に入ってみます。
ご主人は向こうをむいてろくろを回しているところで、絵付けの作業中だった奥さんがこちらを見てくれました。
こ、ここでは、器を買わせていただくことも、で、できますか?
なにしろ、やきものを売っているお店に入った、という感覚ではなくて、自分がご夫婦が仕事中のアトリエに、突然押しかけて来たヤツみたいで、すっかり気遅れしてしまったのです。
挙動不審者のような様子の問いかけに、奥さんは、やさしい声で「はいー」と返事をしてくれました。
後から知ったのですが、この香肌窯は、人を寄せ付けない仕事場、というのではなく、実は年に1回、ゴールデンウィーク頃に、まさにこの場所で展示即売会をやっているような、立派な売り場でもあるみたいです。
下の写真は、2021年のポスターです。
そんなことつゆ知らず、の僕は、緊張しっぱなしで、お店のなかを見せて頂いていました。
さっきの、情報誌の表紙のやさしそうな顔をみてたらもっとリラックスしてたかもしれん。なにしろ、僕がいったときはご主人は背中向きだったので・・・。
棚には、素焼き状態の器や、色を付けたまでの状態、焼きあがった状態など、さまざまなものが所狭しと並んでいました。
作る→天日で乾燥→素焼き→下絵→釉掛け→本焼き→上絵付け→焼く という手順らしい・・・。
棚の上の段や、奥にあってよく見えない器も、僕が見たそうな顔をしていたら、奥さんが棚ごとを引き出して台の上に下ろしてくれて、見られるようにしてくれました。
グイ呑みとカップを買いました
目的であった、先輩へのプレゼントは、2合ぐらいのお酒が飲める、小鬼(か何か?)の絵が付いた、すてきなグイ呑みにしました。
贈り物にする旨を伝えてお願いしたら、奥さんがきちんと箱にいれて、説明書きもつけて、きれいに包装してくれました。
待っている間、作業机をみると、奥さんが絵付けの参考にするための、花や動物の図鑑(手のひらサイズの本)がいくつもありましたよ。
買ったグイ呑みは、とてもかわいらしい図柄だったのですが、もちろんその場で奥さんに丁寧に贈答用に包んでもらったので、写真はありません。
(それはちょっと自分でも残念すぎるけど、しょうがない。)
一緒に行った次男が、気に入ったカップを一つ買いました。
家に帰ってから撮った写真がこれです。
底にも小さく絵がついていて、心がキュンとしました(笑)。
その後
帰ってさっそく、その先輩に電話をして待ち合わせをし、買ってきたグイ呑みをお渡ししました。
日本人なので、その場で包装をビリビリ破って中身を見る、ということはしないので、気に入ってくれたかどうかはわかりませんが、勝手に、「絶対気に入ってくれたに違いない!」と信じているところです。
素敵なものを見つけて手に入れられて、お贈りすることができてよかった、と大満足でした。
2023年の香肌窯アトリエ展 「暮らしのうつわ」
2023年も、香肌窯アトリエにて、「暮らしのうつわ」と銘打って、展示会、兼、販売が行われています。
4月28日(金)から5月6日(土)までの一週間です。
アトリエ内での作業はいったんお休みにして、作品がところ狭しと並べられています。
いつもはご主人が轆轤をまわしている、奥の窓際も、この日は布がかけられて作品が置かれていましたよ
ウェルカムな雰囲気ですので、興味のある方は、ぜひ見に行かれてはいかがでしょうか?
香肌窯の情報
ではまたっ!
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